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「一地球人としての下山田吉成」のブログです。


by SIMON
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浜岡原発停止訴訟

◎浜岡原発のリスク

静岡県御前崎市にある浜岡原発は、日本に存在する原発の中で最も危険な立地条件を持つ、巨大な時限爆弾です。

日本列島が乗っているユーラシアプレートの下にフィリピン海プレートが年間3~6cmの移動速度でもぐりこんでいくプレート境界は100~150年に1度、数千kmのプレートが数メートル跳ね返るマグニチュード8前後のいわゆる東海地震を起こしてきた地震の巣です。

そのプレート境界面は、こともあろうに浜岡原発の直下10~20kmにあることが判明しています

東海地震が最後に起きた1854年12月23日から既に157年が過ぎようとしている現在、次の地震に関して時期的には満期に達しています。

ユーラシアプレートにフィリピン海プレートがもぐりこんだ深い谷間(駿河湾・南海トラフ)では、東海地震・東南海地震・南海地震は周期的かつ同時あるいは互いに近接した時期に連動して発生してきたことが知られていますが、1944年12月7日に東南海地震が、約2年後の1946年12月21日に南海地震が起きたにもかかわらず、東海地震の震源地である駿河湾トラフは沈黙を守りました。
近年の調査で、東海地震の震源域でユーラシアプレートにもぐりこんでゆくフィリピン海プレート上に海嶺(かいれい)と呼ばれる「こぶ」がプレート境界面に引っかかっているのが見つかっており、これが原因で東海地震は起きなかったのではないかと言われています。
この「こぶ」の引っかかりがとれた時に東海地震が発生するということになると、海底で発生するわけですから陸地の観測網では直前予知ができません。しかも157年分のストレスを溜め込んでいるため、大地震になる可能性が高いと予想されます。


◎アメリカの恐れ

菅直人前首相は、福島第一原発事故に関していくつもの重大な判断ミスを犯しましたが、浜岡原発を停止させたことだけは評価したいと思います。

ただしこれは言われているような英断ではなく、もし浜岡原発が福島第一原発のような事故を起こせば、横須賀を母港とする米軍・第七艦隊(東経160度線以西の中東地域を除く西太平洋・インド洋を担当海域とするアメリカ海軍最大の艦隊)が機能障害に陥る可能性が高いことをアメリカ政府が恐れて、日本政府に圧力をかけたためだと言われています。


◎浜岡原発停止の効果

原子炉内の核分裂が止まれば、炉内にある放射性物質の量は1ヶ月で約10分の1、4ヶ月で約1000分の1になると考えられるので、半年以上経てば地震で電源を喪失して冷却不能になっても大丈夫だと武田邦彦氏は言っています。

浜岡原発は停止しましたが、原子炉が冷温停止の状態になっても燃料貯蔵プールにある核燃料は今後も熱を出し続けるため、3~5年ほどは冷却をつづける必要があります。

福島第一原発では、定期検査で停止していた4号機の燃料貯蔵プールの水温が上昇し建屋が爆発しました。津波で全電源を喪失し、冷却水を循環させる装置が停止したことが原因とされています。



◎湖西市長「福島見て脱原発決意」 浜岡停止訴訟初弁論
10月13日 11:37

http://www.news-ex.jp/a/story/news/national/KTT201110130378.html?s=a1

 中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)をめぐり、県内の住民や弁護士ら34人が、中部電を相手に、運転終了と核燃料の安全な保管などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が13日、静岡地裁であった。中部電は請求の棄却を求め、全面的に争う姿勢を示した。
 口頭弁論では、原告を代表して静岡県湖西市の三上元・市長が「福島の災害を見て、脱原発の運動をする決心をした。万全の対策が取られており大丈夫とされてきたが、そうではなかった」などと意見陳述した。
 原告でもある鈴木敏弘弁護団長は、同原発の運転差し止めを求めた別の訴訟で、2007年の同地裁判決が「複数同時故障を想定する必要はない」と請求を棄却したことを指摘。福島第一原発事故は「判決の間違いを証明した。同じ過ちを二度と繰り返してはならない」と訴えた。
■朝日新聞社

(転載終了)


湖西市長が中部電力に浜岡原発の運転終了を求める訴訟の原告団に加わっているというのは、原発近隣自治体の首長として道理と倫理に基づいた立派な、そして当然の振る舞いだと思います。全国の原発立地自治体及び近隣自治体の首長は、住民の生活や健康を長期的かつ根本的に損なうリスクを持つ原子力産業を終焉させなければ、肯定的な未来は存在しないことに今こそ気づくべきではないでしょうか。

これまで原発問題の本質を知らない日本の裁判官たちは、東大教授などの御用学者を擁する原子力村が主張する「科学的常識」に沿って「複数同時故障を想定する必要はない」などと馬鹿げた判決を下してきました。本当に無知と恥を知るべきです。江戸時代なら当然切腹ものですが、個人の義務と責任が問われない時代の官僚・政治家・裁判官などは本当にチャラい商売です。判断を誤って結果的に多くの国民が被曝死しても個人的な責任をとる必要がないのですから…。
取り返しのつかない間違いを犯しても、「当時の常識に照らし合わせて最善を尽くしており、現状は予測できなかった。」などという免責用の逃げ道があらかじめ用意してあるのです。こんな体制側だけを利する無責任でインチキな仕組みはもう必要ありません。

私の個人的な裁定では、福島第一原発事故に関して少なくとも20人以上の関係者が実刑判決を受けることにならなければ日本は「法治国家」ではなく、責任と悪を放置する「放置国家」ということになります。
20人の中には東電の勝俣会長や清水前社長、菅前首相、中曽根元首相などが当然含まれています。

過去の誤った認識に基づいた判決の後で福島第一原発事故が起きたわけですから、その償いと贖いのためにも裁判所には三権分立の本当の姿を示して欲しいものです。
もしそうでなければ裁判所や裁判官に「法の精神」は存在せず、政府や電力会社と癒着していると見なされても仕方ないでしょう。

モンテスキューは、自発的に私利よりも公益を優先する「徳」こそが共和制の底流に存在する基本原理であると説いています。

静岡地方裁判所と当該訴訟の担当裁判官にその「徳」を理解する能力があるか否かによって、この裁判の行方が決定されると言っても過言ではありません。


下山田吉成
by asiakatasumi11 | 2011-10-15 22:34 | 脱原発 反原発 建て替え 建て直し 維新